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QI:EP-2-1-1学内において障害学生等、災害時における避難行動要支援者(以下、要支援者)の数、生命や安全面で想定されるリスクと、必要な支援の最大値について把握する。
意図:日常的に大学等を利用している者のうち、災害発生時に安全確保や避難、あるいはその後の避難生活において要支援者となる可能性が高い人(学生)の数と、その人たちの生命や安全面でのリスクについては予め想定を行っておくべきである。また要支援者の安全確保と避難に係る支援者(援助者)、必要な支援内容の最大値を推測したうえで対応策を検討するべきである。
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QI:EP-2-1-2学内の避難緊急時対応のための基本的設備(防火扉・スプリンクラー・非常ベル・緊急放送システム・担架・スロープ・AEDなど)について、情報提供する。
意図:災害対策基本法(2013年6月改正)、災害救助法などで定められた規定に基づいて設置された学内の基本的設備の情報を、要支援者本人および支援関係者などに周知する。例えば、非常ベルや緊急放送システムなどでは情報が得られない人(聴覚障害など)がいたり、防火扉によって避難経路が妨げられる可能性がある人(車いすユーザー)がおり、基本的設備に加えて緊急時には個別的な対応が必要な場合があるためである。また情報提供フィールドを作成し、大学等を利用する誰もが更新情報にアクセスできるようにしておく。
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QI:EP-2-1-3防災計画および業務継続計画(BCP)について、必要に応じて障害学生支援担当者や障害学生に情報提供する。
意図:BCPによって障害者の対応が異なることが想定されるため、BCPに則した障害者対応を考慮しておく。
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QI:EP-2-1-4大学全体の防災・避難計画において、障害学生など要支援者の生命維持や安全確保の方針を定めて明示している
意図:害学生個別の対応ではなく、障害学生一般に対する避難計画があることが望ましい。例えば、障害学生は全員、学内のこの区画に避難する、障害学生支援部署に安否確認の連絡をするなど。これにより障害学生の災害時対応の個別避難計画のコストカットができるが、個別避難計画が必要ないことを意味しない。
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QI:EP-2-1-5普段使用している支援関連の設備・機器が使えなくなった場合を想定して、代替手段や他の選択肢について検討し、防災計画などに記述している。
意図:災害時において普段使用している設備や支援機器が使用できなくならないようにする備え、また使用できなくなった場合の代替手段についても検討し、防災計画の中に明記する。大学全体の防災・避難計画の策定や見直しのプロセスで、積極的に、障害者などの要支援者と障害学生支援担当者からの助言やフィードバックを受けるようにする。
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QI:EP-2-1-6非常事態を知らせるサイレンや放送案内表示等の設備において、障害学生にも対応するようアクセシビリティが担保されている。
意図:より実行可能性の高い災害時避難計画や支援計画策定のために当事者の意見は必須である。
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QI:EP-2-1-7防災訓練(避難訓練)を実施している。障害学生も避難訓練に参加できるようアクセシビリティが担保されている。
意図:非常事態を知らせる設備は主にサイレンや放送など音声情報によるものが多い。聴覚障害など、音声情報の入手が困難な学生にも正確な情報が届くようにしなくてはならない。例えば、サイレンと連動した光警報機や館内放送と連動したメール配信システムなどがある。また、避難経路の指示には視覚情報が用いられることが多い。視覚障害など視覚情報の入手が困難な学生に対しても代替的な情報保障を考慮しなくてはならない。
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QI:EP-2-1-8災害発生時における安否確認の方法がある。障害学生にも対応するようアクセシビリティが担保されている。
意図:災害発生時において、障害学生は安全確保行動、避難すること自体や避難情報へのアクセスに困難が出てくる可能性が高い。
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QI:EP-2-1-9個々の障害学生ごとに避難計画を策定している。※シミュレーションを行う。
意図:災害発生時に障害学生がどこにいるかは不明なことがほとんどであり、個々の障害学生ごとに安否確認の方法が確立されていることが望ましい。その際、障害学生が確実にシステムにアクセスできることが必要である。
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QI:EP-2-1-10障害学生などの要支援者に対する支援を行う自治体・団体等、学外との連携計画がある。
意図:自治体によっては福祉避難所(「災害時において、高齢者、障害者、乳幼児その他の特に配慮を要する者」(災害対策基本法第8条第2項第15号)が対象者)の設置や、避難行動要支援者登録や要支援者名簿の作成を行う、要支援者であることをアピールするマークの作成など、自治体が持っている災害時対応の資源がある。こうしたものを利用する、または連携(例、災害時協力協定)して障害学生の災害時対応の計画、連携・協力の範囲を予め定めておくことで更なる実行可能性が上がる。
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QI:EP-2-1-11非常時対応に特化した備蓄を確保し、かつその中に要支援者への対応が考慮されている。
意図:災害時の避難において必要になる支援機器や備品(例、筆談ボード、非常用階段避難車、担架、簡易スロープ)の用意が必要である。
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QI:EP-2-1-12障害学生の災害発生後の避難所生活や自宅生活を想定した訓練を実施している。
意図:災害発生後において障害学生が避難所生活になるのか、または自宅で生活することになるのかは予測できず、特に一人暮らしや寮などに住んでいる家族の支援がない学生には生活上の困難が見込まれる。災害発生後の生活維持を考慮した計画の策定や訓練が実施されていることが望ましい
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QI:EP-2-1-13大学が行ってきた障害学生等、要支援者への防災対策に関する経過を記録している。
意図:防災対策は計画的・継続的に実施されるものであり、また時間を必要とする。例えば担当者の異動などによってそれまでなされてきた準備や対策が振出しに戻ることなどのないように、記録をとり、それらが共有されるようにしておく。
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QI:EP-2-1-14大学の防災対策、災害時の対応方針、備えの状況について啓発や周知活動を行っている。
意図:大学の防災対策組織を中心に、学内の防災に関する啓発を行うとともに、災害時の対応の方針・準備状況についての周知を行う。災害時の方針の中には、災害時の避難に関する項目のほかに、休講・休校の判断とその基準、障害学生など要支援者への対応方法など、障害学生の修学・生活に関わる内容も含まれていることが望ましい。
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QI:EP-2-2-1障害学生の数・状況について日常的に把握し、当該学生の所属学部や大学本部、また災害対策本部に対して必要時に情報提供できるようにしている。
意図:災害発生時には、障害学生の安否確認、避難状況、生活状況などを迅速に把握する必要がある。障害学生支援担当では、必要時に学生の情報を防災対策組織や関係者に情報提供できるように準備が必要である。留意点として、緊急時の第三者への個人情報の提供に関しては、その範囲や内容を障害学生と事前に確認していることが望ましい。
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QI:EP-2-2-2災害発生時、障害学生に起こる生命や安全のリスクを想定している。
意図:災害発生時における、個々の学生における生命・安全のリスクを想定し、またスタッフ間で共有されているようにする。医療的ケアの必要な学生、情報の入手が困難な学生、移動が困難な学生など、生命や安全に直結するリスクに関する情報は、対応の優先度や緊急度を判断する場合の助けになる。
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QI:EP-2-2-3大学が策定する防災計画等に記されている、障害学生支援担当部署や担当者の役割について把握している。
意図:障害学生支援担当部署の災害発生時の役割を明確にすることが必要である。特に兼任者の場合には、全体の避難や災害対策業務などが振り分けられている場合があり、それらによって障害学生の対応や支援が実施できない状況が発生しやすいため留意が必要である。
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QI:EP-2-2-4大学が策定する防災計画等について、障害学生本人や障害学生支援担当者の視点から意見を述べる。
意図:日常的に支援に関わる担当者や障害学生からの視点を踏まえて、大学全体の防災計画等に積極的にフィードバックを行うようにする。例えば、災害時に想定される障害学生のリスクや、避難に際して必要とされる情報や移動経路に関するアクセシビリティ確保の観点から意見などを伝える。
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QI:EP-2-2-5大学が実施する防災訓練に参加し、障害学生や支援担当者の視点からニーズや課題を把握する。
意図:大学全体の防災訓練は障害学生の安全行動や避難におけるニーズや課題が明らかになりやすい。まず、障害学生が訓練に参加できるように必要な準備を行うとともに、情報保障などの合理的配慮を手配する(特に訓練後の講評の時間など)。また、障害学生に帯同し、ビデオ等で避難の様子を撮影・記録したり、避難にかかった時間を計る。また防災訓練を機に、全学的に障害学生への支援や配慮について広報するなど、一般の教職員や周囲の学生とともに緊急時の配慮を考える機会とする。
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QI:EP-2-2-6災害発生時に障害学生によって危険や支障となる施設・設備の把握を行い、優先度が高いところから修繕する。
意図:日常的に利用している施設、よく通行する場所や避難経路の周辺、教室や研究室内の環境について、災害発生時に障害学生の生命と安全のリスクとなるものは順次改善が必要である。ハード面などに関しては構内のバリアフリーマップの作成・見直しに合わせて、災害時のリスクも確認しておくとよい。
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QI:EP-2-2-7自校が、指定避難所になっているのか、またどういった災害に対応した避難所になっているのか知っている。
意図:指定避難所※になっているかどうかで、被災した学外の人々の流入による混乱が起こる可能性があり、それにより障害学生の支援が難しくなる可能性も考えられる。また災害の種類によって避難場所は変わるため、大学がどの災害に対する避難場所になっているのか、また地域連携や役割を考慮した障害学生対応を考慮しておくことは重要である。※一時避難場所、避難所
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QI:EP-2-2-8障害学生がキャンパスのどこを主な活動区域にしているか知っている。
意図:災害発生時に障害学生がキャンパス内外のどこにいるか完全に把握することは難しいが、いる可能性の高い区域を予測しておくことで、その区域・建物に即した避難計画の策定が可能になる。
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QI:EP-2-2-9障害学生がよく使用する建物が、耐震・免震・制震構造であるか知っている。
意図:建物が、耐震、免震、制震構造かによって避難計画が変わる場合があるため、障害学生がよく利用する建物の構造を確認しておくことが望ましい。
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QI:EP-2-2-10障害学生がよく使っている大学内建物の避難経路や手順を知っている。
意図:一般的な避難経路を把握するとともに、障害学生がその避難経路を利用できるかどうかを確認する。例えば狭い通路や階段、多くの学生が殺到する場所では、車いすや担架を用いた避難が困難になる場合がある。
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QI:EP-2-2-11避難行動に支援が必要な場合の、避難支援機器を準備している(例、簡易車いす、簡易担架、階段昇降機)。
意図:階段避難(上昇・下降)が必要な建物では、支援機器の準備を行う。想定される災害によって階段の昇/降が異なるため、建物の立地や階段の状況によって選択する必要がある。また、支援機器の設置に関わる取り決めが必要な場合には担当部署との調整が必要である。また機器を使用した避難に係る人員(避難時に操作に必要な人数、機器が操作できる人、操作を教えられる人など)、避難にかかる時間、操作の手順、メンテナンスの方法などを予め確認しておくことが望ましい。障害学生支援担当部署のスタッフは全員操作できるように訓練されていることが望ましい。
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QI:EP-2-2-12障害学生の通学経路・通学方法を知っている。
意図:通学中の災害発生や、災害発生後の通学方法の変更や調整のために、おおよその通学経路・方法を予め確認しておく。例えば、電車やバスなどの公共交通機関を利用している場合、災害前後に計画的な運休や変更がある。その場合の通学可否の判断、安全確保において必要な情報となる。
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QI:EP-2-2-13障害学生の居住地を知っている。
意図:障害学生の居住地域の被災状況等によって避難やその後の生活における困難度は変わるため。
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QI:EP-2-2-14災害発生時、障害学生と個別に連絡をとる方法がある。
意図:災害発生時において障害学生の安否確認を行う方法およびその責任の所在が明確であることが望ましい。
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QI:EP-2-2-15車いす利用学生の車いすの仕様(重量・動力)や基本的な操作・運搬方法を知っている。
意図:災害発生時、エレベーター等の使用ができなくなるため、人力で車いす利用者の避難支援ができるのかどうか確認しておくことが望ましい。特に電動車いすは、重量もあり、また複雑なものも少なくないので、車いすのどこを持てば運搬が可能かなどの確認も必要である。
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QI:EP-2-2-16障害学生が必要とする医療的ケアの内容を知っている。
意図:障害学生が必要とする医療的ケアを把握しておくことは、その後の避難生活における適応度をあげる観点からも重要である。
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QI:EP-2-2-17電力等のインフラの復旧までにかかるおおよその時間的目安を知っている。
意図:障害学生に限らないが、電力等インフラの復旧までにかかるおおよその時間を把握しておくことは、その後の避難生活における適応度をあげる観点からも重要である(エレベーター、水道、ガス等の一般的な復旧の目安を知っている)。
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QI:EP-2-2-18普段使用している障害者用施設(多目的トイレ、エレベーター、自動ドア)や設備(スロープ、階段昇降機、電源)が使えなくなった場合を想定して、復旧の手続きや代替手段を準備する。
意図:インフラの復旧までに使用できなくなる施設や機器については、復旧までにかかるおおよその時間とともに、代替手段を検討しておく。また、再稼働時の動作確認の方法なども知っておく。
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QI:EP-2-2-19障害学生が個別に必要とする道具や機器が使えなくなった際の想定をして、代替復旧手段を準備している。
意図:障害学生が必要とする道具や機器を災害が発生しても使えるように準備しておくことは、その後の避難生活における適応度をあげる観点からも重要である。
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QI:EP-2-2-20障害学生と災害時の対応について話し合う機会を持っている。
意図:障害学生自身が災害時にどう行動し、どのような支援が必要かを考える機会をもつことで、防災・減災の意識を高めることは重要である。
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QI:EP-2-2-21障害学生と「個別の避難計画」を立てて、実践する機会がある。
意図:障害学生が主体的に避難について計画を立て、避難時に周囲に協力を求められる環境を事前に整えておくことは重要である。また避難方法の情報共有を障害学生支援担当者はじめ、関係する部署と共有しておく。災害によって修学環境が変化することも踏まえて、平時とは異なる支援ニーズがあるか事前に検討する場を持つ。障害学生の生活再建や大学の建物の被災状況など、災害前と異なる環境になった場合、あらためて必要な支援は何か確認し、修学環境を整えていくことは重要である。
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QI:EP-2-2-22自宅等で被災した場合に、障害学生がどこに、どのように避難する予定かを事前に把握すると共に、災害時に利用可能な障害者対応施設やサービス(福祉避難所、当事者団体)の情報を収集している。
意図:障害学生の居住地に応じて、想定される災害の種類、避難場所、避難経路などを学生本人が把握しているかを確認する。学生が把握していない場合には、それらの情報の入手方法を教示したり、一緒に確認するなどの手立てを講じる。また生活上の支援が必要な障害学生においては、福祉避難所(複数)や、それらの情報を持ちあわせている当該障害種別の当事者団体などから情報を得られるように準備する。
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QI:EP-2-2-23支援担当部署内での防災対策、取り組みの過程を記録している。
意図:記録の方法は、テキストのほか、写真や動画を蓄積するなど工夫する。担当者の異動や変更によって過去の防災対策が振出しに戻ることのないように、取り組み過程が分かるように引継ぎを行う。
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QI:EP-2-3-1災害発生時の自身に起こる生命や安全のリスクを想定している(場所/時間帯/天候/などの条件によっても被災状況や自身への影響は変わる)。
意図:災害による被害規模は災害が発生する時間や場所などの条件によって異なるが、障害学生の場合ではそれらが自分自身の心身にどのような影響を及ぼすか、リスクを想定しておくことが望ましい。予測不可能な事態(例えば地震や火事など)と、ある程度予測が可能で準備できる事態(風水害、雪害など)では、対応方法も異なる。被害の大きさと自分自身への影響の大きさを考慮して、避難行動の開始や対応の判断基準を予め決めておくことも良い。
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QI:EP-2-3-2日常的に利用する施設、自分に必要な機器や道具が使えなくなる状況を想定している。
意図:災害発生時において自分の必要な道具や機器が使えなくなる可能性を考慮した上で、代替や変更できるものを準備しておくことが重要である。
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QI:EP-2-3-3日常的に利用する通学経路・通学手段が使えなくなる状況を想定している。
意図:災害発生時(あるいは災害が予測される場合)には、交通インフラへの影響も考慮する。特に、近年では台風や天候の予測によって公共交通機関が計画的な運休を行ったり、経路の変更などを行うことがある。通学に使用している交通手段が利用できなくなることや、あるいはそれによる影響(混雑など)を予め想定し、自分自身の行動や判断の基準を決めておくことも必要となる。
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QI:EP-2-3-4災害リスクに応じた判断基準や行動計画(安全確保・避難行動)を自身で考え、周囲に予め伝えている。
意図:災害発生時の自分自身の判断基準や行動の計画を立てる。事前に災害発生の可能性が予見される場合の判断(例えば風水害などでの自主避難のタイミング、自主休校・早退等の判断)、あるいは安全確保、避難の際の自分がとる行動計画を立て、周囲の人や関係者に伝え、共有する。特に避難等に誰かの支援を必要とするのであれば、事前に特定の協力者(災害時に同じ場にいるとは限らないが、特定しておくことで緊急時に対応してもらいやすくなる)に自身の計画について情報提供しておく。
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QI:EP-2-3-5周囲の人々に自身の状態、必要な医療ケア、また介助・対応に関する情報を伝える準備・手段がある
意図:災害発生時においては、必ずしも医療専門職の支援を受けられるとは限らない。自身の状態や必要な医療ケア・介助・支援に関する情報を伝える準備があることが望ましい。例えば「個別の避難計画」(紙面)や、ヘルプカード、障害者手帳などに情報を記載するなど、その場に居合わせた人に言語以外でも伝達できる手段も検討すること。
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QI:EP-2-3-6災害発生時に必要な物を持ち出す準備している。
意図:一般的な持ち出し物品のほかに、個別的な必需品を準備すること。例えば、障害者手帳、医療物品(薬・呼吸器・吸引器・お薬手帳)、予備電源、衛生用品、アレルギー対応の食料、簡易トイレ、移動補助のロープ・ベルト、などがある。
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QI:EP-2-3-7災害時に備えた備蓄をしている。
意図:水、食料、衛生、トイレ、自身の必要な医療ケア、介助、必要物品・道具の準備を行っておくことが望ましい。およそ2~3日分の物品の確保・備蓄とともに、日常的に必要となるものの内容・数量を具体的に列挙して書き記し、また身近な支援者と共有しておく。
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QI:EP-2-3-8災害時に備えて適切な情報確保のためのツールを複数準備している。
意図:一般的に災害発生時には、防災放送、ラジオ、テレビ、インターネットなどから情報を収集する。しかし、音声情報あるいは視覚的な情報を入手しにくい障害がある場合には、代替的な手段や適切な情報確保のためのツールを用意しておく必要がある。また、混乱状況の中で、誤った情報や不確かな情報によって不利益がないように、準備している情報ツールが適切であるかどうかも確認する。
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QI:EP-2-3-9災害発生時や緊急事態を知らせるサイレン・放送・案内表示からの情報が得られない場合には、個別に知らせてもらうように周囲に求めておく。
意図:サイレン・放送・案内表示など施設ハード面の改修や修繕、また情報保障というものは学内のすべての場で配置・対応していないかもしれない。また災害発生時の混乱状況の中では適切に機能していない可能性もある。その場合にも、自分自身の生命と安全を確保するために、緊急的な情報は確実に伝えてもらえるように周囲に求めておくことが必要である。
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QI:EP-2-3-10災害発生時や緊急事態における大学の安否連絡先がわかっている。
意図:不測の事態に対応するため、大学に限らず支援を受けられる先を把握しておくことは重要である。
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QI:EP-2-3-11自分がよく使っている大学内建物の避難経路・手順を知っている。
意図:建物の構造によって、また利用人数、混乱の度合い、災害発生時の時間等によって適切な避難計画が変わってくるため、障害学生自身がよく使っている大学内建物の避難経路・手順を、複数の観点で確認・想定しておくことが望ましい。
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QI:EP-2-3-12自分がよく使っている大学内建物が耐震・免震・制震構造か知っている。
意図:建物が、耐震、免震、制震構造かによって避難計画が変わる場合があるため、障害学生自身がよく利用する建物の構造を確認しておくことが望ましい。
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QI:EP-2-3-13自分がよく使っている大学内施設や設備(例:エレベーター、階段昇降機、多目的トイレなど)が使えない場合の代替手段を複数考えている。
意図:緊急避難時に助けてもらったり、代わりに道具や機器を運んでもらう場合に、それらの基本的な仕様や操作方法が説明できなくてはならない。また道具・機器の取り扱い上の留意点や禁忌事項(特に医療機器や医療行為に関して)がある場合には、それらの説明ができるようにしておく。例:車いすの場合は操作方法、空気圧のチェック方法、バッテリー充電方法、運搬方法(持ってはいけないところ)。医療機器については使用法のほかに使用範囲(使用して良い人や行為の範囲)も。
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QI:EP-2-3-14自分に必要な道具や機器が使えない場合の代替手段や復旧までの手立てを知っている。
意図:代替手段は複数あることが望ましい。また電気などのインフラの復旧にかかる時間、機器の修理や調整にかかる手順や連絡先、復旧までの時間などは把握しておく。
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QI:EP-2-3-15緊急時に助けを求められる人がいる。
意図:災害発生など緊急時において、支援や応対の責任が分散することはよく知られている。名指しで助けを求められるような他者の確保は重要である。
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QI:EP-2-3-16大学等が実施する防災訓練や避難訓練に積極的に参加する。
意図:災害発生時を想定して、安全確保や避難行動をシミュレーションできる貴重な機会である。自分自身の想定や避難計画の見直しとともに、教職員や周囲の人への理解啓発の機会にもなるので、毎年参加することが望ましい。
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QI:EP-2-3-17大学や障害学生支援担当部署(者)とともに事前に災害時対応について話し合う機会を持つ。
意図:災害発生時に起こり得るリスク、自分自身の避難等に関する考え、判断基準や行動計画を障害学生支援担当者と共有する機会を持つ。また、安否確認や避難後の連絡手段などを確認しておく。緊急時の個人情報等の取扱いについても大学や担当部署の方針を聞き、要望を伝えておく。
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QI:EP-2-3-18大学や支援担当部署に不足している災害時の対応方法、準備などについて意見を述べたり、要望を伝える。
意図:全学的な取り組みや、支援担当部署等で災害時の対応や準備が十分にできていない場合、障害学生の視点で意見や要望を積極的に伝える。改修や措置など予算と人員が必要なものに関しては計画的に実行してもらえるように、モニタリングする。
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QI:EP-2-3-19通学中や課外活動中に被災した際に誰にどのような手段で連絡するか事前に決めている。
意図:誰にどのように連絡をするか、どうすれば安全が確保できるかを事前に検討し、家族や障害学生支援担当者とも確認しておくことは重要である。
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QI:EP-2-3-20災害発生時に連絡すべき人や場所の一覧を作成している。
意図:大学との連絡調整、あるいは居住地周辺の避難所や支援者・介助者、保護者との連絡のために、連絡先を整理しておく。
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QI:EP-2-3-21自宅で災害が発生した際に避難する場所とそこのバリアフリー状況を知っている。また避難方法を計画している。
意図:状況によっては、自宅から動かない方がよい場合もあれば、指定されている避難所等を利用する必要もある。避難場所や支援してくれる組織や人を知っておくことは重要である。
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QI:EP-2-3-22日常的に利用している地域支援サービスが利用できない場合、どのように対応するのか家族や周囲の人と相談しておく。
意図:生活上の支援を利用している場合には、災害時の対応方法や連絡先について自治体等と予め確認をとるようにする。災害時には支援者・介助者も被災していることによって、平時と同じサービスが受けられないことも想定しておく。