SIG-CT SIG Career Transition
キャリア移行に関する専門部会

大学等高等教育機関が備えておくべき障害学生の就職活動、インターンシップ、就業後の支援に関する知識・技術・行動・態度等について検討し、他SIGメンバーや、全国の障害学生支援関係者のコメントを受けて、キャリア移行に関するスタンダードを公表する。

現在のメンバー

  • PHED 面高有作
    面高有作 Yusaku OMODAKA

    九州大学キャンパスライフ・健康支援センター准教授 臨床心理学を専門とし、発達障害や精神障害のある人の社会参入(就労や地域生活など)とアドボカシーについて、臨床と研究に取り組んでいます。大学では学生・教職員(障害の有無を問わずすべてのニーズがある者)の総合相談窓口(ファーストコンタクト、ワンストップ)、及び、専門的な支援につなぐ役割(コーディネート)を担っています。

  • PHED 近藤武夫
    近藤武夫 Takeo KONDO

    東京大学先端科学技術研究センター社会包摂システム分野教授 東大PHEDディレクター(事業責任者) DO-ITJapan、AccessReading、AEMC、IDEAなど、東大先端研での障害のある人々の社会的包摂に関わるアクションリサーチ・プロジェクトをディレクションしています。

  • PHED 柏村美生
    柏村美生 Mio KASHIWAMURA

    大学時代は社会福祉学を専攻。『全ての人に役割がある社会を創る』をテーマに1998年にリクルート入社。2004年に『ゼクシィ』事業への中国進出事業を提案して採用され、上海に赴任、中国版ゼクシィ『皆喜』を創刊する。帰国後はホットペッパービューティー事業責任者、リクルートスタッフィング代表取締役社長などを経て、現在はリクルートホールディングス執行役員(PR担当)兼リクルート執行役員(人事・広報・サステナビリティ担当)。

  • PHED 梅田恵
    梅田恵 Megumi UMEDA

    EYJapan,Diversity&InclusivenessLeader. 2019年9月まで外資系大手IT企業にて、ダイバーシティを長年リードし、障害のある学生向けのインターンシップ「AccessBlueProgram」を2014年に立ち上げ、135名の卒業生を送り出した。2019年10月から現職。女性、障がい者、LGBT、ワークライフバランスにフォーカスした施策の企画、実施をリードしている。

  • PHED 岸田耕二
    岸田耕二 Koji KISHIDA

    社会福祉法人すいせい理事長 1981年鳥取県生まれ。精神保健福祉士、産業カウンセラー。2002年神戸市にて社会福祉法人すいせいのオープニングスタッフとし入社。2016年、理事長に就任。障がいのある方に相談事業、居場所事業、就労支援事業を行う。事業承継を機に、生活困窮者・ひきこもり・大学生・LGBT・メンタルヘルスなど障がい者に限らず【生きづらさ、働きづらさを変革する法人】を掲げ活動している。

  • PHED 高沢航
    高沢航 Wataru TAKASAWA

    厚生労働省高齢者医療課課長補佐

キャリア移行に関するQI(Quality Indicator)

  • QI:CT-1就労移行に共通した心構えにおけるスタンダード

    • QI:CT-1-0就労移行に共通した心構えにおけるスタンダード

      障害学生支援担当部署およびその担当者が、障害学生の就労移行支援全体で共通して重視しなければならないことは、進路に関する本人の意思の尊重と、個人情報保護の遵守である。

    • QI:CT-1-1卒後の進路に向けての本人の主体性を何よりも重視する

      意図:選択肢や可能性についての情報提供は必要だが、本人の進路について過度な方向づけを行なっていないかを常に振り返る必要がある。障害者向けとされる画一的な就労支援に陥ってはならない。

    • QI:CT-1-2個人情報の保護を遵守する

      意図:職業への移行支援においては、学内の教職員だけではなく、企業や就労移行支援組織など、学外の関係者の関わりも大きくなるほか、移行時には本人が企業等に対して適切に情報を開示できるように助言も必要となる。そのため、個人情報保護の徹底の必要性が高まる。

    よくある間違い

    • 障害学生には、本人の意思に関係なく、特例子会社などの障害者雇用のために用意された場所だけを紹介し、他については勧めない。

    • 大学の就職率を高めるために、障害学生本人が卒後すぐの就職以外の道を建設的に考えていた場合もそれを否定する。

    • 本人の承諾や確認を得ていない状況で、候補となる企業やその関係者に、特定の障害学生の診断や障害についての状況を開示する。

  • QI:CT-2職業準備性の涵養におけるスタンダード

    • QI:CT-2-0職業準備性の涵養におけるスタンダード

      障害学生支援担当部署およびその担当者は、卒後の就労に向けて障害学生に必要となる職業準備が整うことを助ける働きかけを行う。障害に限定されない一般的な職業準備性のほか、障害に関連して必要となる職業準備性を整えるための支援も提供する。こうした働きかけは、主として障害学生との日々のコミュニケーションや相談の中で、または障害学生に向けたキャリア研修の中で、または一般の学生向けのキャリア支援サービスの中で行う。

    • QI:CT-2-1本人の障害についての自己理解を助ける働きかけを行う

      意図:自己理解の観点としては、客観的な視点から、自分の強みの部分は何かを理解した上で、体力や体調の変動や、自分の苦手なことを自ら把握するスキルに繋がる肯定的な助言や、実際に経験できる機会の創出を行う。

    • QI:CT-2-2本人が自分に適した環境調整の方法を知るための支援を行う。

      意図:障害のある学生が、自分自身への合理的配慮として、どのような環境や慣習の変更調整が本人自身納得できるか、在学中に経験を通じて知っておく機会を作ることは重要である。また、そうした合理的配慮の具体的な実施方法や関連情報を、本人が理解できるよう十分に説明しておくことも、卒後の職業や生活につなげていくために重要である。

    • QI:CT-2-3本人が第三者に相談するスキルを身につける働きかけを行う

      意図:卒後の職業生活を支えるための準備性として、学内の支援担当者以外にも、学外の福祉制度や、各種相談機関等への相談支援を利用するスキルは、重要なソフトスキルである。「信頼の置ける第三者」や「障害に関するアドボケイト(権利擁護に関わる団体や人々)」、「公的な支援サービス」へ相談して支援を得る機会を、本人が効果的かつ適切に利用できるように、経験を通じた学びが得られるよう、支援を行うことは重要である。

    • QI:CT-2-4本人がセルフ・アドボカシーを身につける支援を行う

      意図:職業生活に移行する上で、セルフ・アドボカシーは不可欠なソフトスキルである。「周囲に必要な合理的配慮について説明できる」、「配慮の優先順位を職場に伝えられる」、「自分自身の障害特性を管理職等の適切な相手に伝えられる(例:取扱説明書をつくる等)」、「ニーズについて管理職等の適切な相手と建設的対話ができる」ことに繋がるよう、日々の合理的配慮の相談を通じた支援を行う。またその際、アドボカシーが支援者側の都合に合わせ、矮小化されたものとならないように注意する。具体的には、障害のある当事者の視点に立ったアドボケイトや、すでに就労している先輩によるロールモデルとの交流の機会、また、そうした人々からのピア・サポートが得られる機会等をつくることを重視する。

    • QI:CT-2-5ワークベースドラーニング、インターンシップ等の経験を促す支援を行う

      意図:障害学生にとっても、在学中から実際に企業等で役割を持って労働し、給与を得る経験を通じて、職業に関する準備性を高めることは重要な機会である。そのため、学外での労働やインターンシップの機会への参加を本人に促すことは重要である。しかしその一方で、障害学生が、企業等との対話を通じて合理的配慮を得て働いたり、そもそも障害学生を受け入れる雇用の現場は多いとは言えない現状もある。そのため、学内インターンシップなど、障害学生が、合理的配慮を得て実際に労働し、実践的な職業準備性や職業生活での展望について、実際に働くことを通じて学ぶ機会(work-basedlearning)を学内に設けることも重要である。

    よくある間違い

    • 特定の種別の障害のある学生に対して、その障害種別のステレオタイプ的に「できないこと」や「困難なこと」とされていることを本人に伝え、本人がステレオタイプを自分自身に同一化するような働きかけを行う。その結果、個々人の状況や個性の違いを軽視する。

    • 「障害学生本人の負担にならないように」という慮りを重視してしまい、環境調整等の合理的配慮が本人の同席またはインフォームド・コンセントと意思確認のない、水面下で進められる。その結果、同様の配慮を卒後に得るためにどこから交渉を始めて良いのかが、障害学生本人にはまったくわからない形にしてしまう。

    • 障害学生本人に、障害があることを想定していない、一般的な価値観や能力感のみに基づいた職業準備を働きかける。その結果、障害に関連した社会資源や価値観への接続を阻む。

    • セルフ・アドボカシーは一部の能力の高い障害者だけができることと考え、そうでないと思えた学生に対してはセルフ・アドボカシーに関連した働きかけをせず、父権主義的な関わりをする。

    • 働いて給与を得る機会を形式的に用意することを重視し、障害学生がその業務に求められる水準を満たしていないことについて、無視したり、フィードバックを本人に返さなかったり、水準を満たすための合理的配慮の在り方の検討を障害学生と共に行うことをしない。

  • QI:CT-3障害学生への就労移行に関する情報提供を行う際のスタンダード

    • QI:CT-3-0障害学生への就労移行に関する情報提供を行う際のスタンダード

      障害学生本人にとって、または障害学生の指導やキャリア移行に関わる学内の教職員にとっても、障害のある学生が卒後に職を得て活躍するための情報について、十分に得られてないことがある。障害学生支援担当部署およびその担当者は、障害学生支援に関連した専門性を通じてこれらの情報を収集して、本人及び関係者に情報提供を行う。

    • QI:CT-3-1労働に関する法や制度を知り、本人に情報提供を行う

      意図:労働者の権利に関する知識として、労働基準法や社会保障についての基礎知識が得られるように支援する。その他、障害と雇用に関連した法制度の知識として、改正障害者雇用促進法や障害者総合支援法による、労働に関する障害者の権利保障の仕組みと、これらの法に基づいて提供されている、本人が利用できる就労への移行を支援する各種サービス(例:就労移行支援事業、就労継続支援事業等の就労系福祉サービス)について体系的な知識を得ておき、情報提供を本人に行う。また、安全配慮義務について理解し、職場で想定される危険な状況とその対策についての検討を本人と行う。

    • QI:CT-3-2障害学生が公的制度による就労移行支援事業を形骸的ではなく効果的に利用できるよう支援する。

      意図:障害学生本人が就労移行支援事業の賢い利用者となるためには、一定程度、そのサービスの概要を把握した上で主体的にサービスを利用できるように支援する必要がある。また、大学を卒業した障害学生を対象としてサービス提供を行ったことのある事業者も、都市部を除いて一般的とは言えない状況もある。既存の就労移行支援事業をサービス利用のための制度的な知識に加えて、事業者によって、サービスの質が大きく異なることや、得意としている障害種別・産業領域・地域が違うこと、在学中の利用可能な時期の判断が自治体によって異なることなど、現在の就労移行支援事業の現実について情報を収集しておき、必要に応じた情報提供を行うことで、本人の効果的なサービス利用を支援する。

      【在学中からの就労移行支援事業利用について】

      <引用>平成29年度障害福祉サービス等報酬改定に関するQ&A(平成29年3月30日)より

      問13 大学在学中の卒業年度に、就労移行支援を利用することができるか。

      (答)大学(4年生大学のほか、短期大学、大学院、高等専門学校を含む。以下同じ。)在学中の就労移行支援の利用については以下の条件をいずれも満たす場合に、支給決定を行って差し支えない。

      1.大学や地域における就労支援機関等による就職支援の実施が見込めない場合、又は困難である場合

      2.大学卒業年度であって、卒業に必要な単位取得が見込まれており、就労移行支援の利用に支障がない者

      3.本人が就労移行支援の利用を希望し、就労移行支援の利用により効果的かつ確実に就職につなげることが可能であると市町村が判断した場合

      ※最終学年からの利用については、上記3点の要件を満たすことにより可能となるが、就労移行支援事業の利用にかかる支給決定は各自治体の判断で行われるため、対象となる地域の自治体に確認が必用となる。

    • QI:CT-3-3インターンシップについての情報を収集し、開拓する

      意図:障害学生を主たる対象としたインターンシップ・プログラムは、現在のところ広く知られているものはあまり存在しないが、今後増えていくことが想像される。数少ないプログラムについても情報収集を定期的に行い、学内の障害学生に、情報提供を通じたインターンシップの機会創出に努める。『1DAYインターンシップ』のような事実上の職場見学のみで終わるような形式だけでなく、実際の業務体験を通じた『職場での学び』を得ることができるプログラムの実施を企業側に働きかける。

    • QI:CT-3-4ユニバーサルな働き方を実践している企業について情報を収集する

      意図:近年、障害や病気を含めた多様な背景のある人々にとっても働きやすい、ユニバーサルな働き方を自社内に実現しようとチャレンジしている企業がある。大学を卒業した障害学生のインクルーシブな働き方について取り組みを行なっている企業について情報を収集し、学内の障害学生に情報提供を行う。

    よくある間違い

    • 労働者の権利に関する情報を本人に提供することで、過度な権利保障の要望などのトラブルが起こると考え、権利に関する情報を提供しない。

    • 障害者のための就労移行支援事業が制度として行われていることを本人に情報提供するのみで、現実的な利用について情報を収集しない。(就労移行支援事業等、就労系福祉サービスの支給決定は各自治体の判断によって行われるため、一定の要件をクリアすれば利用要件には該当するものの、各地域特性や自治体の考え方によって対応が異なることを理解する)

    • インターンシップは障害学生支援担当部署の職務ではないと考え、インターンシップに関する情報収集等は行わない。(インターンシップに関する情報収集等を行う場合は、1DAYインターンシップによく見られる企業説明会のみで完結するものに偏らず、業務体験を軸とした複数日実施されるインターンシップ情報の収集に努める)

    • 障害者雇用におけるネットワークは地域ごとに形成されていることが多く、その地域ネットワークの中で、地域に所在する企業の障害者雇用情報や就労支援事業所情報など、実情も含めた状況が共有されている。このような既存にある地域ネットワークの情報なしに、インターネット上の情報や、広報チラシなどから得た情報のみで、企業の障害者雇用状況や地域の就労移行に関わる各種社会資源の状況を判断する。

  • QI:CT-4障害学生のキャリア移行を支援する場作りにおけるスタンダード

    • QI:CT-4-0障害学生のキャリア移行を支援する場作りにおけるスタンダード

      障害学生支援担当部署およびその担当者は、障害のある学生の就学を支援することが中心的な役割である。しかし、障害学生の大学での修学での成功は、卒後の就労を支えるものであり、担当者の関連する経験や知識は、キャリア移行においても重要である。キャリア移行での障害学生支援が十分ではない現状を鑑みると、障害学生支援に関連する知識や経験を、キャリア移行に関連する場の醸成に生かすことには大きな意義がある。また、大学が主体となって障害学生の卒後の活躍という目標を共有する関係者の協議の場を新しく生み出すことも、大学の役割として期待されることである。

    • QI:CT-4-1学内キャリアサービスと障害学生支援が連携する体制を学内に構築する

      意図:学内のキャリア移行に関連する学内サービスがユニバーサルなものとなり、障害学生にとっても意義ある形で利用できるように働きかけをおこなう。障害学生支援の担当部署からは、学生に障害があった時にどのような支援や働きかけができるかの専門的なサポートを、キャリアサポートの担当部署に提供することができる点で、双方にとって意義がある。

    • QI:CT-4-2企業と障害学生の就労移行について懇談の場を持つ

      意図:障害者雇用率制度等により、障害学生の採用に関心がある企業は少なくない。企業は制度的な障害者雇用支援を提供する事業者からの支援を受けていても、障害学生が雇用前に在籍する大学と連携しているケースは現在のところ多くはない。障害学生支援の担当部署から働きかけて、懇談の場を持つことには双方にとって意義がある。

    • QI:CT-4-3企業への職場開拓に訪問する際に、障害のある社員の活躍や働き方についても情報を収集する

      意図:在籍する学生の職場開拓のために企業訪問する取り組みは、学部や学科単位で担当の教職員により行われることがあるが、その際に、企業での障害のある社員の活躍や働き方についても情報が収集されるよう、障害学生支援担当部署およびその担当者は学内の関係者に対して働きかけを行う。

    • QI:CT-4-4地域連携(行政、企業、大学)の取り組みに参加する、または企画する

      意図:障害のある人を対象としたものかどうかにかかわらず、または大学生・若者かどうかに関わらず、人々が就労へ移行することを支援する取り組みは、行政や企業等、地域ごとにさまざまな関係者により独自に行われている。それらの取り組みでの課題は、常に情報共有や連携であり、移行支援ニーズのある学生がいる大学関係者が積極的に地域連携の取り組みに参加したり、または取り組みを企画したりして地域連携を開始する。その際には、他大学と連携して、工業団体等と障害学生支援に関する懇談の場を設ける。全国規模または中規模の集まりにアンテナを張っておき、参加して情報収集に努める。

    よくある間違い

    • 大学のキャリアサービス担当部署が障害についての知見がないことを知りつつも、キャリア関連業務・企業連携・地域連携の活動は障害学生支援室の領分ではないと考え、関与しようとしない。

    • (双方向的な意見交換の場にならない)企業側もしくは大学側の一方向的な情報提供もしくは要望伝達の場になる。

    • (一部の情報が全てだと判断する)障害の開示や非開示、業務内容、就労時間など特定の企業の情報をもとに、障害学生に助言を行う。

    • (個人として動く)大学としてではなく、個人的に企業や学外機関と連携して障害学生の支援を行う。また、障害学生と個人的に連絡先を交換し卒業後も連絡を取り合う。

  • QI:CT-5就職と定着の支援におけるQI

    • QI:CT-5-0就職と定着の支援におけるQI

      障害学生支援の就労への移行期と、その後の定着期に関わることは、通常の障害学生の修学支援の業務とは最も活動の内容が異なる部分である。大学を卒業した障害学生の就労移行支援は、現状、日本の大学においては十分な蓄積があるとは言いがたく、実践及び研究の蓄積が求められる新しい領域であることから、IVの場づくりと同様に、大学が主体的に関わることが期待される。

    • QI:CT-5-1大学から雇用への移行の好事例を蓄積する

      意図:自学内の障害学生に関して移行支援を行った個別の事例の経緯について、好事例に当たるものを蓄積する。その事例に関与した障害学生と関連企業に十分な説明と個人情報保護の対策を行なった上で、学内外の関係者と情報共有できる工夫を行う。

    • QI:CT-5-2障害学生の卒後・就職後のフォローアップに関わる

      意図:障害学生支援の担当者は、学内での(4年またはそれ以上の)長期間に渡る障害学生との関わりを通じて、特性や合理的配慮の必要性をはじめとした支援に資する多くの情報を持ち得ている。企業と学生の対話を支える相談対応には、この担当者が関わることで、就職後の定着支援に役立つことがある。長期的なフォローアップは、障害学生支援担当部署の職務とされないことが多いと推測されるが、(本人の同意を得た上での)在学時の配慮状況などの情報提供も広い意味でフォローアップのひとつと捉え、大学が有する支援情報を共有できる手段・方法を考慮する。大学でフォローアップが困難な際は、在学中から障害福祉サービスにつなげるように努める。

    • QI:CT-5-3定着支援を行う福祉的な資源を活用する・連携する 

      意図:障害のある学生が卒業後に就職活動する場合や、就職後に生活支援サービスを要する場合、障害者職業センターやハローワーク(障害者専門窓口)、障害者就業・生活支援センター(通称:就ポツまたはナカポツ)を活用することで必要な支援を受けられる場合がある。障害学生支援部署の担当者は、これらの障害福祉サービスを障害のある学生が効果的に利用できるよう、本人の合意を得た上で在学中から障害福祉サービスの担当者と情報共有し、連携体制を整えるように努める。また、障害のある学生を主体とした連携となるよう、障害福祉サービスの担当者と本人の顔合わせの機会を設け、福祉サービスの概要や困った際の連絡手段を理解できるようにする。

    よくある間違い

    • 個人情報の保護に関する体制の確認などの倫理的な検討・準備を行わず、特定の個人に関する事例の蓄積や学外連携における障害学生の情報提供を行う。

    • 勝手に伝える(本人不在の環境で、大学と企業の担当者が情報交換する):企業や支援機関の担当者と情報交換する際、本人がいると話しづらいという理由から障害学生の主体性を軽視し、終始、本人不在の環境で打合せをする。

    • 本人もしくは企業どちらかの話のみ聞き判断することでコーディネートがうまくいかない:就職後のフォローアップ(定着支援)において、状況や問題を多角的に捉えようとせず、本人もしくは企業のどちらか一方の話に基づいて理解・判断することで仲介者としての立場を失う。

    • どの障害学生においても画一的な機関紹介をする:就労移行支援事業所等への接続を考慮する際、障害学生のニーズに即した新たな接続先を開拓することなく、どの障害学生にも大学がすでに連携している特定の事業所(機関)を紹介する。

関連資料

歴代のメンバー

  • PHED 面高有作
    面高有作 Yusaku OMODAKA

    九州大学キャンパスライフ・健康支援センター准教授 臨床心理学を専門とし、発達障害や精神障害のある人の社会参入(就労や地域生活など)とアドボカシーについて、臨床と研究に取り組んでいます。大学では学生・教職員(障害の有無を問わずすべてのニーズがある者)の総合相談窓口(ファーストコンタクト、ワンストップ)、及び、専門的な支援につなぐ役割(コーディネート)を担っています。

  • PHED 近藤武夫
    近藤武夫 Takeo KONDO

    東京大学先端科学技術研究センター社会包摂システム分野教授東大PHEDディレクター(事業責任者)。 DO-ITJapan、AccessReading、AEMC、IDEAなど、東大先端研での障害のある人々の社会的包摂に関わるアクションリサーチ・プロジェクトをディレクションしています。

  • PHED 桶谷文哲
    桶谷文哲 Fuminori OKETANI

    富山大学学生支援センター特命講師 障害学生支援の企画・運営および相談業務に携わっています。特に発達障害のある学生が新たな環境(社会)に参入するプロセスを継ぎ目なく支援するため、大学適応支援や就職活動支援といった移行期の支援方策を探求しています。

  • PHED 末富真弓
    末富真弓 Mayumi SUETOMI

    筑波大学准教授(~H31.3)客員研究員(H31.4~) 大学生の全般的なキャリア・就職支援及びキャリア教育に携わる傍ら、キャリアの立場から障害学生のキャリア・就職支援にも積極的に取り組んでいます。現在は発達障害学生の自己理解促進に関する研究を行っています。

  • PHED 柏村美生
    柏村美生 Mio KASHIWAMURA

    大学時代は社会福祉学を専攻。『全ての人に役割がある社会を創る』をテーマに1998年にリクルート入社。2004年に『ゼクシィ』事業への中国進出事業を提案して採用され、上海に赴任、中国版ゼクシィ『皆喜』を創刊する。帰国後はホットペッパービューティー事業責任者、リクルートスタッフィング代表取締役社長などを経て、現在はリクルートホールディングス執行役員(PR担当)兼リクルート執行役員(人事・広報・サステナビリティ担当)。

  • PHED 梅田恵
    梅田恵 Megumi UMEDA

    EYJapan,Diversity&InclusivenessLeader. 2019年9月まで外資系大手IT企業にて、ダイバーシティを長年リードし、障害のある学生向けのインターンシップ「AccessBlueProgram」を2014年に立ち上げ、135名の卒業生を送り出した。2019年10月から現職。女性、障がい者、LGBT、ワークライフバランスにフォーカスした施策の企画、実施をリードしている。

  • PHED 岸田耕二
    岸田耕二 Koji KISHIDA

    社会福祉法人すいせい理事長 1981年鳥取県生まれ。精神保健福祉士、産業カウンセラー。2002年神戸市にて社会福祉法人すいせいのオープニングスタッフとし入社。2016年、理事長に就任。障がいのある方に相談事業、居場所事業、就労支援事業を行う。事業承継を機に、生活困窮者・ひきこもり・大学生・LGBT・メンタルヘルスなど障がい者に限らず【生きづらさ、働きづらさを変革する法人】を掲げ活動している。

  • PHED 塚田吉登
    塚田吉登 Yoshito TSUKADA

    社会福祉法人すいせい 学生・就職困難者キャリアサポート事業+U(プラスユー)事業責任者。2009年入社から就労相談窓口の担当をしつつ、法人独自の障がい学生支援事業として『+U』の事業立ち上げを行う。現在は兵庫県内・県外の様々な大学や行政機関と連携し、事業を展開。大学との提携のみならず、兵庫県・神戸市などの各行政機関から障がい学生支援にかかる公的な事業を受託。地域全体に働きかけができるよう活動している。

  • PHED 柴岡三智
    柴岡三智 Michi SHIBAOKA

    東京労災病院第二精神科部長第二両立支援部長勤労者メンタルヘルス研究センター長 元々は、製造業やIT企業の専属産業医として、約10年勤務していました。現在は精神科医と産業医の両方の立場から、主に働きながら治療をする方のサポートをしています。

  • PHED 高沢航
    高沢航 Wataru TAKASAWA

    厚生労働省高齢者医療課課長補佐