SIG-AT SIG Assistive Technology
支援技術に関する専門部会

大学等高等教育機関が備えておくべき支援機器とその活用に関する知識・技術・行動・態度等について検討し、他SIGメンバーや、全国の障害学生支援関係者のコメントを受けて、支援技術に関するスタンダードを公表する。

現在のメンバー

  • PHED 渡辺崇史
    渡辺崇史 Takashi WATANABE

    日本福祉大学健康科学部教授。リハビリテーション工学を専門とし、障害がある人の身体状況等に応じたユーザインタフェースや福祉用具の研究開発、支援サービスの提供方法について取り組んでいます。また多様な地域生活や活動を支援するために支援機器の適合相談に応じています。

  • PHED 奥山俊博
    奥山俊博 Toshihiro OKUYAMA

    東京大学先端科学技術研究センター/日本バリアフリー協会理事 福祉機器や福祉制度の活用、テクノロジーとさまざまな障害や困難さのある人の生き方に興味があります。趣味は子育てと旅行。障害や困難さを抱えた小中高校生、大学生の進学とその後の就労への支援をすることで、社会のリーダーとなる人材を養成することを目的としたプログラムDO-ITJapan(http://www.doit-japan.org/)スタッフ。

  • PHED 山口俊光
    山口俊光 Toshimitsu YAMAGUCHI

    新潟市障がい者ITサポートセンター/新潟大学自然科学系特任講師 支援技術のエンジニア。ATに関連する研究や開発、現場への普及活動を行っています。新潟市障がい者ITサポートセンターでの活動を通して、特別支援学校や医療機関で教育やリハビリテーションに支援機器を活用するお手伝いをしています。

  • PHED 伊藤英一
    伊藤英一 Eiichi ITO

    情報バリアフリーラボ代表。元長野大学社会福祉学部教授。1985年よりリハビ リテーションセンター職員として障害者の意思疎通や機器利用に関する支援に取 り組み、社会福祉専門職を養成する大学でも障害学生支援等に携わり、これら経 験を生かしていきたいと考えています。

  • PHED 大前勝利
    大前勝利 Katutoshi OMAE

    京都大学学生総合支援機構障害学生支援部門(DRC)テクニカルスタッフ/高等教育アクセシビリティプラットフォーム(HEAP)プロジェクトスタッフ。障害学生支援の現場でAssistive Technology(AT)のフィッティングを行っています。また、ATの活用について情報発信を行っています。リンク(https://www.assdr.kyoto-u.ac.jp/heap/fitting-note/)

支援技術に関するQI(Quality Indicator)

  • QI:AT-1支援技術の役割を理解できる

    • QI:AT-1-1ICFの考え方を理解している

      意図:障害を社会モデルとして捉えたとき、支援技術はICFにおいて環境因子として位置づけられることから、利用する本人に適合した支援機器が提供されれば、諸活動に対して促進因子として作用する。すなわち支援技術は単に機器・道具のこと、ICT利用のことを指すのではなく、障害のある学生の生活を支える方法の1つとして重要な役割を持つことを理解する必要がある。

    • QI:AT-1-2多様な機能障害と諸活動における障害を理解している

    よくある間違い

    • 支援技術の対象者は、身体障害(肢体不自由、視覚、聴覚)のある学生であると思い込んでいる。

    • 障害学生支援に関わる者の間で支援技術の必要性が共有されていない。そのため、学生の支援計画の項目に入っておらず、支援機器の導入・活用は、別に検討されている。

    • 直面する問題を全て支援機器で解決しようをする。あるいは、できるだけ支援機器を利用しなくてもできるようにすることを目指し、本人の頑張りを求める。

  • QI:AT-2支援技術を利用できる

    • QI:AT-2-1OperatingSystem(OS)のアクセシビリティ機能を理解している

      意図:障害学生支援に関わるものにとって、OSのアクセシビリティ機能と基本的な福祉用具は、誰もが持つべき知識である。OSのアクセシビリティ機能では、対象となる学生の機能障害と対応させて活用できること。福祉用具では、コミュニケーションのためのローテク・ハイテク機器、移動関連用具の種類と操作方法・介助方法に関する基本知識は必須である。パソコンを含む情報機器と。それらを操作するための代替手段や補助手段については、一般製品を有効活用するための知識や機能にも目を向けておくことが必要である。

    • QI:AT-2-2基本的な福祉用具を理解している

    • QI:AT-2-3便利な一般製品を知っている

    よくある間違い

    • OSのアクセシビリティ機能は知識として知っているが、対象となる学生の障害特性に応じて設定したり、説明したりすることができない。

    • ユニバーサルデザインや身近な機器道具の活用に目を向けず、支援機器を整備する予算がないことを理由に、学生支援が提供されない。

    • 支援機器や福祉用具が揃っているにも関わらず、誰のためのものなのか、どうやって利用するか、特定の人しかわからない。また、担当者が変わるともっとわからなくなり、永遠に使われない。

    • 支援機器は揃っているが、しばらく使っていないので使えるかどうかわからない。そのため、メンテナンスをしたいが、どこに連絡したら良いかわからない。

  • QI:AT-3支援技術の相談に対応できる

    • QI:AT-3-1基本的な機能障害の知識を持っている

      意図:支援技術を導入するために必要な知識として、対象となる学生の機能障害および活動を理解した上で、適合した支援機器を見出し、試用してみる機会をつくること。導入時には福祉制度やその他の助成制度を検討することが求められる。地域資源や支援技術の専門家と連携して相談にあたれるように、各種支援サービスの活用や人的なネットワークの構築が必要である。

    • QI:AT-3-2機器やアプリを調べる方法や支援サービスを知っている

    • QI:AT-3-3機器入手のための福祉制度を知っている

    • QI:AT-3-4困難さに気付いていない学生に気付くことができる

    よくある間違い

    • 障害種別や障害名を聞いただけで、ステレオタイプ的に支援機器との対応付けを行い、機器を選定してしまう。

    • 支援サービス・相談は、要望のあった機器やアプリケーションを揃えることだと思っている。

    • 検討される支援機器は、担当者が知っている特定のものに限られている。

    • 支援機器を紹介するだけに終わって、学生ニーズを解決するための、具体的な手段や情報提供ができない。

    • 対象となる学生の意向確認が無く、支援機器の決定プロセスに関与しないまま、支援機器の選定される。ましてや、アセスメントの段階において、支援機器を試すことなく決定されてしまう。

    • 支援機器の決定プロセスを残していないので、特定の担当者しか対処できない。

    • 支援機器入手のための助成制度を知らないために、費用負担や予算化の問題として扱われてしまう。

  • QI:AT-4支援技術の活用事例を理解している

    • QI:AT-4-1ニーズに応じた支援技術の提供ができる

      意図:支援技術は機器・道具やアプリを提供したらおわりという、一過性のものではない。継続的に有効利用するための仕組みを用意する必要がある。例えば支援技術は、利用する学生の受講科目(実習やインターンシップ、就職活動等も含む)の変化に合わせてアップデートすることが必要である。また、一部の教職員のみが機器やアプリを扱えるのではなく、基本的な使い方は他の教職員等と共有することが必要である。当初の目的が支援技術利用によって、達成できたか、間違った使い方がされていないか等を検討する機会も必要である。

    • QI:AT-4-2支援技術の利用方法を学内の人々に伝えられる

    • QI:AT-4-3適切な支援技術が使われているかどうか判断できる

    よくある間違い

    • 支援機器利用のための相談・サービス機能はあるが、担当部署以外の教職員や学生は、その存在を誰も知らない。

    • 支援技術の有効性は理解しているが、導入・普及・メンテナンスのための予算化がされていない。

    • 支援機器の導入を重視するのみで、支援機器の適否や導入の効果を評価するための、モニタリングの基準をもっていない。

    • 支援機器を適用した学生へのモニタリングと導入効果の評価が、共有されていないので、レアケースとして扱われてしまう。そのため、次に繋がる支援サービスの必要性が顕在化しない。

関連資料

SIG-ATが担当した専門的研修CBI

参加大学等高等教育機関の教職員であれば、録画視聴が可能です。

申し込みをすると、CBI研修の録画を限定期間で視聴できます。複数名で視聴される際は、お一人ずつお申込みください。

 

歴代のメンバー

  • PHED 渡辺崇史
    渡辺崇史 Takashi WATANABE

    日本福祉大学健康科学部教授リハビリテーション工学を専門とし、障害がある人の身体状況等に応じたユーザインタフェースや福祉用具の研究開発、支援サービスの提供方法について取り組んでいます。また多様な地域生活や活動を支援するために支援機器の適合相談に応じています。

  • PHED 巖淵守
    巖淵守 MamoruI WABUCHI

    早稲田大学人間科学学術院教授 障害のある人や高齢の人に役立つICTを利用した支援技術の研究開発を行っています。パソコンやスマホ、スマートスピーカーなど、身の回りにあるテクノロジー(アルテク)の活用を中心に紹介しています。

  • PHED 奥山俊博
    奥山俊博 Toshihiro OKUYAMA

    東京大学先端科学技術研究センター/日本バリアフリー協会理事 福祉機器や福祉制度の活用、テクノロジーとさまざまな障害や困難さのある人の生き方に興味があります。趣味は子育てと旅行。障害や困難さを抱えた小中高校生、大学生の進学とその後の就労への支援をすることで、社会のリーダーとなる人材を養成することを目的としたプログラムDO-ITJapan(http://www.doit-japan.org/)スタッフ。

  • PHED 山口俊光
    山口俊光 Toshimitsu YAMAGUCHI

    新潟市障がい者ITサポートセンター/新潟大学自然科学系特任講師 支援技術のエンジニア。ATに関連する研究や開発、現場への普及活動を行っています。新潟市障がい者ITサポートセンターでの活動を通して、特別支援学校や医療機関で教育やリハビリテーションに支援機器を活用するお手伝いをしています。

  • PHED 綱川貴
    綱川貴 Takashi TSUNAKAWA

    たすく株式会社 障害種別での支援機器の活用、機器の詳細な設定が専門です。特別支援学校へのコンサルテーションや発達障害児童への療育を行っています。様々な人が自分に合った学び方を見つけ、学ぶ楽しさに出会える社会を目指しています。(前職:東京大学先端科学技術研究センター近藤研究室スタッフ)