STANDARD 4 ICTや機器の活用等、支援技術の理解
by SIG-AT
4-1 支援技術の役割を理解できる
意図
大学生活において障害のある学生が学び・暮らすためには、支援技術を活用する必要が生じる場合がある。障害学生支援担当者は、支援技術の役割を理解しサポートする必要がある。
-
4-1-1ICFの考え方を理解している
[意図]
支援技術はICFにおける環境因子として位置づけられる。利用する本人の機能障害に適した支援機器が提供されれば、諸活動に対して促進因子として作用し、されなければ阻害因子として作用することを理解する必要がある。
-
4-1-2多様な機能障害と諸活動における障害を理解している
[意図]
単に支援技術の提供を目指すのではなく、障害のある学生の身体機能や環境に適した内容の提供が、学生の暮らしや活動を支え、良い結果をもたらすことを理解する必要がある。
よくある間違い
- 支援技術の対象者は、身体障害(肢体不自由、視覚、聴覚)のある学生であると思い込んでいる。(肢体不自由、視覚、聴覚)のある学生であると思い込んでいる。
- 障害学生支援に関わる者の間で支援技術の必要性が共有されていない。そのため、学生の支援計画の項目に入っておらず、支援機器の導入・活用は、別に検討されている。
- 直面する問題を全て支援機器で解決しようをする。あるいは、できるだけ支援機器を利用しなくてもできるようにすることを目指し、本人の頑張りを求める。
4-2 支援技術を利用できる
意図
障害学生支援担当者は、障害のある学生に関わるために、基礎的な支援技術を理解して利用できるようになることが求められる。
-
4-2-1OperatingSystem(OS)のアクセシビリティ機能を理解している
[意図]
障害学生支援に関わるものにとって、OSのアクセシビリティ機能は誰もが持つべき知識である。障害学生の学修に必須なパソコンを利活用するためには、OSのアクセシビリティ機能を対象となる学生の機能障害と対応させて活用できるように設定することを理解する必要がある。
-
4-2-2OperatingSystem(OS)のアクセシビリティ機能を理解している基本的な福祉用具を理解している
[意図]
障害学生支援に関わるものにとって、基本的な福祉用具の利活用は誰もが持つべき知識である。障害学生の学生生活に不可欠となる福祉用具においては、コミュニケーションのためのローテク・ハイテク機器、移動関連用具の種類と操作方法・介助方法に関する基本知識は必須である。
-
4-2-3便利な一般製品を知っている
[意図]
障害学生支援に関わるものにとって、障害学生にも利用可能な便利な一般製品は誰もが持つべき知識である。障害学生の学生生活に不可欠なパソコンを含む情報機器と、それらを操作するための代替手段や補助手段については、入手が容易な一般製品を有効活用するための知識や機能にも目を向けて知り得ることが必要である。
よくある間違い
- OSのアクセシビリティ機能は知識として知っているが、対象となる学生の障害特性に応じて設定したり、説明したりすることができない。
- ユニバーサルデザインや身近な機器道具の活用に目を向けず、支援機器を整備する予算がないことを理由に、学生支援が提供されない。
- 支援機器や福祉用具が揃っているにも関わらず、誰のためのものなのか、どうやって利用するか、特定の人しかわからない。また、担当者が変わるともっとわからなくなり、永遠に使われない。
- 支援機器は揃っているが、しばらく使っていないので使えるかどうかわからない。そのため、メンテナンスをしたいが、どこに連絡したら良いかわからない。
4-3 支援技術の相談に対応できる
意図
障害学生支援担当者は、障害のある学生に関わり相談に応じるために、学生の困難さを理解し機器やアプリの選定、福祉制度の利用等、必要な情報収集や支援技術の提案ができるようになることが求められる。
-
4-3-1基本的な機能障害の知識を持っている
[意図]
支援機器の相談に応じるには、障害学生の身体的、心理的、社会的要因等の多様な視点からアセスメントを行い、その結果として適合した支援機器が選定されなければならない。そのための手がかりとして、対象となる学生の機能的な障害とその機能障害から起こり得る活動制限について理解しておく必要がある。
-
4-3-2機器やアプリを調べる方法や支援サービスを知っている
[意図]
限定された情報や学内の資源から機器やアプリ等を選定するのではなく、ハイテク・ローテク・一般製品に関わらず、活用できそうな複数の候補を選び出すことが必要である。そして、可能な限り本人が試用してみる機会もつくることが求められる。
-
4-3-3機器入手のための福祉制度を知っている
[意図]
学内の予算状況等に合わせて選ぶのではなく、個人利用の支援機器であれば、障害者総合支援法における助成制度等の対象になっているものがある。各種支援機器に関する福祉制度をうまく利用するためにも、地域資源や支援技術の専門家と連携して相談にあたれるように、人的なネットワークの構築が求められる。
-
4-3-4困難さに気付いていない学生に気付くことができる
[意図]
例えば、時間がかかる、間違いやミスが多いなど、活動参加における違和感や不具合等の原因は、支援機器が本人に合っていないことによって起こる場合もある。また対象学生自身も、以前から使用しているなどの理由から、無意識にその状況を受入れてしまい解決すべき問題であると、気が付かないこともある。そのためにも、日頃の学生や教職員間とのコミュニケーション環境の構築が必要である。
よくある間違い
- 障害種別や障害名を聞いただけで、ステレオタイプ的に支援機器との対応付けを行い、機器を選定してしまう。
- 支援サービス・相談は、要望のあった機器やアプリケーションを揃えることだと思っている。
- 検討される支援機器は、担当者が知っている特定のものに限られている。
- 支援機器を紹介するだけに終わって、学生ニーズを解決するための、具体的な手段や情報提供ができない。
- 対象となる学生の意向確認が無く、支援機器の決定プロセスに関与しないまま、支援機器の選定される。ましてや、アセスメントの段階において、支援機器を試すことなく決定されてしまう。
- 支援機器の決定プロセスを残していないので、特定の担当者しか対処できない。
- 支援機器入手のための助成制度を知らないために、費用負担や予算化の問題として扱われてしまう。
4-4 支援技術の活用事例を理解している
意図
障害学生支援担当者は、障害のある学生が継続して支援技術を活用して行けるように、活用事例を理解してニーズに応じた支援技術の提供や、必要に応じて他の教職員・関連部署と情報を共有することが重要である。
-
4-4-1ニーズに応じた支援技術の提供ができる
[意図]
支援技術は機器・道具やアプリを提供し活用できたらおわりという、一過性のものではない。継続的に有効利用するための仕組みを用意する必要がある。例えば支援技術は、利用する学生の受講科目の変化(学期や学年など)に合わせてアップデートすることが必要である。
-
4-4-2支援技術の利用方法を学内の人々に伝えられる
[意図]
一部の教職員のみが支援機器やアプリを扱える状況だと,便利で有用なものであったとして,結局使われなくなってしまう.基本的な扱い方は他の教職員等と定期的に共有する機会をもつことが必要である.特に担当者が変わった場合には必須である.当初の目的が支援技術利用によって、達成できたか、間違った使い方がされていないか等を検討する機会も必要である。
-
4-4-3適切な支援技術が使われているかどうか判断できる
[意図]
解決したい課題が支援機器利用によって達成できたか、間違った使い方がされていないか等を定期的にモニタリングし、何らかの改善や支援機器の再選定などをする必要がある。
よくある間違い
- 支援機器利用のための相談・サービス機能はあるが、担当部署以外の教職員や学生は、その存在を誰も知らない。
- 受講科目は学内での限定されていて,学外実習やインターンシップ、就職活動等に対応できてない。
- 支援技術の有効性は理解しているが、導入・普及・メンテナンスのための予算化がされていない。
- 支援機器の導入を重視するのみで、支援機器の適否や導入の効果を評価するための、モニタリングの基準をもっていない。
- 支援機器を適用した学生へのモニタリングと導入効果の評価が、共有されていないので、レアケースとして扱われてしまう。そのため、次に繋がる支援サービスの必要性が顕在化しない。
- 担当教職員が不在だったり異動になったりすると、支援機器やアプリの設定や調整、設置、運用ができない。
関連資料
- 障害学生支援室支援技術スタートアップセット(V.1.0)
- 福祉⽤具・⽀援技術・アクセシビリティ関連の参考URL集
- 2019年度版支援技術に関するスタンダード
- 「ATのQI」を実現するために必要な資源・コストについて